こんにちは、Team 轟 ホンダ学園 情報処理部門 飯尾です。
お盆休みが明けたと思っていたら既に9月ですね。今年の十五夜は9/24(月)だそうです。
十五夜と言えば、松尾芭蕉の「名月や 池をめぐりて 夜もすがら」なんて句が有るようですが、我々の場合は車検直前に整備をしている内に夜が明けている日が来そうです…。(笑)
さて、今回は表題通りボディの塗装作業についての記事を書いていきたいと思います。ここで紹介する手順はDIYでのスプレー缶塗装にも使えるものも有りますので、自分でバイクや車を塗装したいなと考えている方も是非参考にして頂けると嬉しいです!
塗装の全体構成は以下の4工程。今回は下処理について紹介します。
- 下処理
- プライマ(下塗り)
- サーフェーサ(中塗り)
- トップコート(上塗り)
今回の構成は以下5点。
剥がし作業
ここではアンダーコート落としと錆落としの2種類の作業を行います。
まずは以前使用されていた時のアンダーコートがボロボロになっていたので、いったん全て落としました。
このような状態のものを
バーナーであぶって軟らかくした後にスクレッパでかき落とします。
寝板を使用して下回りの作業をするときは削った塊が顔面や髪の毛に落ちてきて大変でしたが、なんとかここまで削ることが出来ました。
続いて、錆を落としていきます。
どこを見回しても錆だらけのこのボディ。このような状態では快適なドライビングは出来ません。しかし、こんな錆だらけだった空間が匠の手にかかってしまうと…
錆が無くなり、綺麗な地金が見えるようになりました!
仕上げに空研ぎよう紙やすりで凹凸を無くしたら完了です。
へこみの引っ張り
この作業では板金用のスポット溶接機を使用しました。
今回直すへこみはこちら
へこんでいる部分に銅ワッシャをかませた電極を当て、アースを適切に取り、ボタンを押すと銅ワッシャがくっつきます。
ここで取り出しますはこちら。画像向かって左にグリップが有り、位置を動かせるフックが3つ、向かって右には当て板が付いている器具となっております。
こちらのフックに先ほど付けた銅ワッシャを取り付け、当て板部分を手で押さえながらグリップを引くと、てこの原理で銅ワッシャが引っ張られ、へこんだボディが出てきます。
引っ張りすぎてへこんでいない基準面よりも出てきてしまった場合はハンマーで叩いて戻します。
引っ張り作業が終わったら後述するファイバーパテで整えます。
腐食部への鉄板切り貼り
まずは大胆に腐食している部分を切ってしまいます。
切り取った鉄板を段ボールに合わせ、型を取ります。
型を基に鉄板を切り出します。
切り取った箇所の周りをサンドブラストで処理します。
新たに切り出した鉄板を、切り取り面に当て、溶接します。
裏側はファイバーパテで埋め、周辺面に合わせます。
パテ盛り
今回はノーマルパテ、ファイバーパテ、上塗りパテの3種類を使用しました。それぞれの違いを説明します。
ノーマルパテ
一般的なパテ。人間の目で見るとクリーム状だが、実は巣穴と呼ばれるスポンジのような穴が開いている。
5㎜以下のへこみに直接もしくはファイバーパテの上から塗る。
ファイバーパテ
へこみが5mm以上有る所に使用。ノーマルと違い、巣穴の部分に炭素などが入っている為、穴が埋まっているようなイメージ。
上塗りパテ
ノーマルパテの上から塗る仕上げ用のパテ。巣穴を埋めてくれるので、手触りが滑らかになる。
手順は以下の通り。
5㎜以上のへこみの場合
ファイバー→#80空研ぎ→(ノーマル→#80空研ぎ)→上塗り→#400水研ぎ
()内省略可
5㎜未満の場合
ノーマル→#80空研ぎ→上塗り→#400水研ぎ
今回使用したものはポリエステルパテと呼ばれるもので、そのままでは固まってくれないので、まずパテと硬化剤を素早く均一になるよう混ぜます。
パテの体積がゴルフボールほどだとすると硬化剤はパチンコ玉ほどの量が目安です。
パテを取り出す際には容器の溝とヘリに付着させないよう注意し、万が一付いた場合はすぐに取り除くことが重要です。
パテが付いた状態で固まると蓋が閉まらなくなり、パテが乾燥してしまうので、それを防ぐために行います。
注意点は2つ。素早く塗る事と、1箇所を数回に分けて塗る事。
気温にもよりますが、この作業をしていた夏真っ盛りの時は5分ほどで固まり始め、思うように成形できませんでした。
しかし、焦ることは厳禁。パテを塗る時にはケーキにクリームを塗るようなイメージで数回に分けて塗るのがコツです。
一気に塗ってしまうとはけの端部に当たる場所が隆起してしまい、この後の研磨作業の手間が増えてしまいます。
パテ盛りが終わったら、ノーマル・ファイバーは#80で空研ぎ、上塗りは#400で水研ぎを行い、次の工程へ移ります。
部品洗浄
塗料のノリを良くする為に塗装する物全てを洗浄します。
中性洗剤とナイロンたわしを使用し、部品一つ一つを隅々まで洗った後、エアで水分を完全に飛ばして完了です。
今回はここまで。長々とありがとうございました。
次回はいよいよ塗装についてですので、よろしければまた読んでください!